WeChat(ウィーチャット)」。

LINEのユーザー数3億に迫る2億7,000万人のユーザー数を誇る中国発のインスタントメッセンジャー(IM)アプリです。

LINE、Kakao、Whatsapp、Snapchatなどなど、IMアプリ業界は規模の大きいサービスが複数混在。そんな中、この度このWeChatが「強制グロースハック」とも呼べる手荒なキャンペーンを仕掛けてきました。

「友達5人紹介で2,500円キャッシュバック」

wecha

その「強制グロースハック」とも呼べるのが、このほど米国ユーザー向けにWeChatが展開した「友達5人紹介で$25(≒2,500円)をキャッシュバック」キャンペーンです。

その詳細はというと、

  • ・既存ユーザーはグーグルアカウントとWeChatを同期
  • ・見込みユーザー(米国在住に限る)にWeChatを招待
  • ・招待された見込みユーザーの内、5人が招待を受諾した段階で米系レストラン専門クーポンサイト「Restaurant.com」から$25分のギフトカードが贈呈

というもの。

対象は米国ユーザーに限るという点から、WeChatが北米進出に向けて大きく動き出したことが伺えます。

「強制グロースハック」に対する批判と懸念

また、「良質な製品を作って、良い製品だということが口コミで伝わる仕組みを埋め込もうという考え方」であるグロースハックというコンセプトに逆行し、お金でユーザーを釣ろうという強制的なグロースハックキャンペーンには様々なテック系ニュースでも早々に話題と批判が巻き起こっています。

過去にも「友達を紹介したら○○の機能が使えます」といった強制グロースハックはいくつか存在してきましたが、多くのスタートアップは金銭的インセンティブを与えられるほどの体力がないのも事実で、WeChatが仕掛けるキャンペーンは強制グロースハックの中でも最も力強いと言えるでしょう。

一方で、心配されるのは「リファラル(招待)後の離脱」
IMアプリには「多くのユーザーが使えば使うほど利便性が高まる」ネットワーク外部性が存在し、Facebook Messenger、Whatsapp、Snapchatなどが高いプレゼンスを誇る米国では、一度招待を受諾したユーザーもすぐに利用を停止してしまう恐れがあるのです。

KakaoやLINEと同様、WeChatもゲームとIMを連動させる戦略実現に成功していると伝えられていますが、果たして今回の強制グロースハックが本当に米国進出のカギになるのか、観ものと言えるでしょう。