食事、睡眠、買い物、SNSチェック。

毎日するであろうこれらの行動は、全てニーズ、ウォンツ、もしくは衝動を満たす為の行動です。

私たちはこれらの行動を取ることによって自らの欲望が満たされていることを認知しており、その認知に基づいて毎日同様の行動を繰り返すのです。

しかし、私たちが感じる「満足」は全て同等ではありません。

例えば食事とSNSチェックであれば、個人差はあれど通常生きていく上で欠かせない食事から得る満足の方が高い傾向にあることは明白です。

これは、欲求の緊急性がSNSチェックに比べて食事のそれの方が高いからだと考えられます。

そしてもう一点、満足を分類する上で欠かせない基準の1つが「行動と褒美の間に存在する時間的距離」です。

本日は、この「行動と褒美の間に存在する時間的距離」に焦点を当てて、マーケティングに活用する方法を紹介します。

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行動と褒美の間に存在する時間的距離とは

「行動と褒美の間に存在する時間的距離」とは、欲望を満たすためにとった行動が実際に満足感をもたらすまでの時間の長さを指します。

たとえばあなたが突然空腹に襲われ、近くのコンビニで弁当を買ったとしましょう。

食事を終えたあなたの空腹は当然のように満たされ、食事という行動と満足の間に存在する時間的距離は非常に短いことが分かります。

次は、あなたがデリバリーのピザを注文したと想定してみましょう。

調理にかかる時間に加えて配達にも時間がかかり、注文という行動と食事を終えた際の満足の間に存在する時間的距離は比較的長いことが分かります。

もし弁当とピザから得られる満足度の大きさが同等である時、便利に馴れ、忍耐強さを兼ね備えていない大半の現代人は行動と満足の間に存在する時間的距離が短い選択肢を好みます。

将来を見越して勉強するのと差し迫ったテストを前に勉強するのではやる気に大きな差が出るのも行動と褒美の間に存在する時間的距離の差が原因です。

Amazonの即日配達は、時間的距離を短くすることで商品の魅力を向上させた最たる例と言えるでしょう。

とはいえ提供するサービスによっては何でもかんでも即刻対応することが困難であることも事実。

そこで本日は、少しの工夫で行動と褒美の間に存在する距離を短くする、もしくは顧客にそう感じてもらうためのテクニックを紹介します。

キャッチコピーに時間的距離を挿入

行動と褒美の時間的距離の短さをアピールする最も簡単な方法が、キャッチコピーやその他文言に時間的距離を数値化して挿入することです。

たとえば「たった1ヶ月でウエスト10cmダウン」、「注文から10分で届く宅配ピザ」などがその例に挙げられます。

一方で注意しなければならないのは、持たせた期待にサービスが応えられなかったときの反動。

明らかに無理な数値を押し込むのではなく、しっかりとしたデータや実績に基づいた適切な数値を挿入することが大切です。

即効性の高い連絡手段を採用

見込み客がサービスに関して問い合わせたいと思い立った時、回答がすぐに返ってくるに越したことはありません。

メールアドレスのみを公開している企業も多く存在しますが、インスタント・チャット機能を採用したり電話番号を掲載することで、質問という行動と回答という褒美の時間的距離を縮小しましょう。

コストはかかりますが、電話での問い合わせが多い場合にはコールセンターに頼るなどの対応も必要です。

体験までのプロセスを最小化

ユーザーが「使いたい」や「買いたい」と感じたときの衝動を無駄なステップで不意にしてはいけません。

以下の項目を参考に、体験までのプロセスを最小化しましょう。

・ネットはカタログだけという企業はオンライン購入を可能にする

・ソフトウェア販売はSaaSに移行する

・無駄なユーザー登録を省く

・無料体験などのオファーを用意して、コストに関する懸念を一時的に取り除く

・配達までの時間を可能な限り縮小する

サイトスピードの最適化

時間的距離の最小化は、クリックやタップのような最小単位の行動1つを取っても同じことです。

クリックしてから8秒後に次ページが表示されるのと2秒後に表示されるのでは、同じコンテンツを表示してもユーザーの満足が変化して当然です。

体験までの経過を通知

体験までの経過を通知することで、感覚的な「行動と褒美の間に存在する距離」を縮小しましょう。

たとえばメールでお問い合せがあった場合には、自動返信機能を利用してメールを受け取ったことを通知しましょう。

ブラウザ上で送信完了を確認することも可能ではありますが、ユーザーとしては返信がくることで安心感が増します。

自動返信の有無にかかわらずちょうど24時間後に返信が来るとしても、この安心感によって感覚的な「行動と褒美の間に存在する距離」は縮小するのです。

オンラインショッピングの場合には、支払いや配達の経過を可視化してあげましょう。

満足を感じるまであとどのくらいかかるのかを知っているか否かで時間的な距離の感じ方は大きく変わります。

時間的距離∝期待値の関係を理解

時間的距離が長ければ長いほど期待値は高まります。

この関係を理解せずに自社よりも迅速なサービス提供を行う競合他社と張り合っても負けて当然です。

スピードで勝てないのであれば、プロダクトやカスタマーサポートの質で期待値に応える努力を怠ってはいけません。

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最後に

ニーズやウォンツとなるとその大きさばかりに目が行きますが、ニーズを満たす為の行動とその結果生まれる満足の間に存在する時間的距離もサービスを開発改善する上で重要な懸念事項の1つです。

本記事でも触れた通り、実際の時間的距離を短くする努力はもちろんのこと、感覚的な距離を縮める努力も忘れないように気をつけましょう。