Translated by Takaya Uchida

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2006年当初、Twitterはマイクロブログを運営する小さなスタートアップとして始まりました。

1976年、当時Appleは数人の仲間内でコンピュータを製造するようなスタートアップでした。

2005年にはBoxはまだストレージを提供するサービスを提供し始めたばかりでした。

それから現在までの数年間で何が起こったでしょうか?

彼らは素晴らしいプロダクトを開発し、何百万人ものユーザーを獲得したのです。

汝まず世界の必要とするものとなれ。さすれば、たとえ森の中に住むといえども汝の戸口に人々が集まるであろう。

–  Ralph Waldo Emerson(日本語訳)

この格言は私の座右の銘でもありますが、プロダクトグロースに関して我々は一人の先駆的な開発者が最良のプロダクト開発に尽力することから起業家のサクセス・ストーリーが生まれると期待しがちです。しかし、そのようなことはおとぎ話の中でしか起こりえません。

現実世界では、素晴らしいプロダクトには素晴らしいユーザーが必要なのです。

そのため、ビジネス成功の核心部分にあるのはユーザーの獲得、すなわち、十分な数の良質な顧客を探して引っ張ってくることなのです。

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注意:素晴らしいプロダクトがない状態で先に進むことは禁物

ユーザーの獲得に本腰を入れる前に、まず素晴らしいプロダクトが必要です。

具体的には、「グロースハッカーが駆使するコンバージョンファネルの使い方」でも述べましたが、プロダクトマーケットフィットの実現が必要なのです。

プロダクトマーケットフィットとは、簡単に説明するならば、あるプロダクトがなくなったらユーザーの内40%以上が「非常に残念」に思うような状態を指します。

プロダクトマーケットフィットを実現するまでは、プロダクトの改善を試すために十分なユーザー数のみを惹き付け、それ以外ユーザーを獲得しようとするべきではありません。

人々のニーズにきちんと応えられない内から多くのユーザーがいることは、ただ単により多くの苛立ちを生じさせることになります

1.  目標を定める

目的地をわかっていなければ、どの道を通ってもそこに辿り着けてしまうだろう。

–  Lewis Carroll(日本語訳)

「ユーザーを獲得する」ためには、手当たり次第に広告のキャンペーンやSEO対策を始める前に、自社にとっての成功の基準を定める必要性があります。

ウェブサイトへの新規の訪問者を10万人獲得したら、それはあなたにとって成功でしょうか?(プロダクトがオンライン上の出版物であった場合は成功でしょう。)

ホームページ上でのコンバージョン率が5%向上したら、それはあなたにとって目標を達成したことになるでしょうか?(トラフィックを既に沢山獲得できていて、訪問者からユーザーへのコンバージョン率が高いならば目標を達成したと言えるかもしれません。)

新規で10人がプロダクトを購入した場合、これはあなたにとって成功したことになるでしょうか?(あなたのビジネスが高いライフタイムバリューを持っているならば成功かもしれません。)

ユーザー獲得の施策を行う前に成功の定義を確立させなければ、失敗しているのか、成功を収めているのかの判断がつきません

・本当に考慮すべき測量基準を見定める

AARRRに出てくる5つの指標は今や誰もが知るものとなりましたが、それぞれの指標はデータから得られる数値や比率によってより詳細に分析することが可能です。

データから抽出される数値にはそれぞれ活用法がありますが、全ての数値を毎日追跡しようとすることはデータ量の膨大さから来るノイズのせいで、かえって分析を非効率化してしまいます。

この問題を避けるために、あなたのプロダクトにとっても最も追跡する必要がある指標をただ一つに定めましょう

Lean Analyticsで著者のAlistair CrollとBen Yoskovitzは、全てのスタートアップはその時々に応じて最も重視すべき指標を一つ見つけなければならないと述べています。

では、この一つの重要な指標とは一体どれなのでしょうか?

残念ながらそれは絶対的なものではなく、相対的なものです。重視すべき指標はプロダクトに依存し、またスタートアップがどの成長段階にあるかによっても変わります。

・目標は簡潔でわかりやすいもの(SMART)にすること

「ビジネスを成長させる」ことは目標ではありません。それは夢です。

「お金を支払ってくれるユーザーを増やす」ということも目標と呼ぶにはあまりにお粗末なものです。

海外の著名なグロースハッカーが必ずおさえる6つのステップ」でも強調しましたが、実現可能な目標を設定することが必要なのです。

効率的な目標を設定するためには、「SMART」のそれぞれの文字を頭に持った以下の5つの項目をおさえましょう。

Specific(具体性)

Measurable(測定可能)

Assignable(設定可能)

Realistic(現実的)

Time-related(時間的制約がある)

これらの項目に従うならば、新たな目標は「歳入を生み出す月当たりのユーザー数を50%増やすために期限付きのクーポンをユーザーに配信する」等となるでしょうか。

明確かつ具体的な目標があることによって初めて成功を測ることができるのです。

・効果測定ツールの導入

既に目標は設定しました。しかし、どのようにしてその目標の達成度合いを測定すればよいのでしょうか。

完全にオンラインのビジネスの場合は、Google AnalyticsやMixpanelを駆使したデータ追跡で手一杯のことでしょう。

一方、オンラインとオフラインの側面を兼ね備えているビジネスの場合は、コンバージョン率を追跡することはより面白いものとなります。

例えば、ユーザーをオンライン上でAdwordsから獲得し、実際にユーザーに支出させる段階では電話でやり取りをしている企業もあります。

ユーザーがネット上の広告から電話をかけるコンバージョン率を正確に追跡するツールとしてカスタムAPIと、アメリカのサービスではありますが、CallRailの組み合わせがあります。

ウェブサイトへの訪問者が広告をクリックするとCallRailは自動的にその人に広告に関連のある電話番号を表示します。

訪問者がその番号に電話をかけると、通話内容に応じてコールセンターのオペレーターは成功または失敗したコンバージョンとしての記録を取ります。

その後、APIスクリプトがコンバージョンのタグをGoogle Analyticsにプッシュすると、「成功」を示すタグはコンバージョン成功としてGoogle Analyticsに記録され、さらにその記録がAdwordsの広告に自動的に同期されるのです。

多くの効果測定や追跡ツールはそれ程込み入った作業を要しませんが、コンバージョン・プロセス全体に渡る確実な追跡を行うためにはできることは全て実行すべきでしょう。

2.  ターゲット層を絞る

目標を設定し、目標の達成度合いも測定できるようになりました。そこで今度はユーザーのターゲット層を定める必要があります。

1924年にPhillip Morrisは煙草のMarlboroを「5月のようにマイルド」というキャッチコピーと共に女性向けのブランドとして売り出しました。

最初の内は良く売れましたが、次第に需要は落ち込んでいき、最終的にMarlboroは市場から一時期姿を消しました。

しかし、1955年になり喫煙による肺ガンのリスクが社会的認知度を得ると、Morrisはこれは新たな市場機会だととらえました。

Marlboroを通常の煙草と同じ味を持ちながらも、より安全な代替品としてリブランドし、Marlboroを以前とは全く異なるターゲット層、アウトドア好きの男性、に向けて売り出しました。

プロダクトやサービスと相性の良い層を選択することは時としてプロダクトグロースの命運を分けることがあるのです。

・ターゲット層とコミュニケーションをとる

自分のプロダクトを欲しがる人達がどのような人なのかがだいたいわかったならば、徹底的に彼らのニーズや嗜好を学ばなければいけません。

既に顧客やユーザーがいる場合、これは比較的容易いことでしょう。顧客一人一人と15分間程度話し合いの場を設ければ良いだけのことです。

顧客は喜んで話し合いに応じるでしょうし、あなたもターゲット層として考えている人々が直面している問題や彼らによって使われている言葉遣いを把握することができます。

まだ顧客がいない場合は、500円のギフトカードを携えて地元のカフェに足を運び、カフェにいる人々にプロダクトを見てもらい、どのように感じるかを聞くのも手でしょう。

どのような手法をとろうと、ユーザーの声に耳を傾けることが不可欠です。

ユーザーからのフィードバックはマーケティングやプロダクトデザインに大きく貢献することが往々にしてあるのです。

・まさに行動を起こしている最中のユーザーにフィードバックをもらう

SpeedyPrepは、オンライン上で任意の分野のビデオ授業と試験を受け、試験に合格した学生が自分の通っている大学の単位として認定してもらえるサービスを提供してますが、マーケティングの手法として、実際にSpeedyPrepのサービスを利用している最中の学生にフィードバックをお願いしました。

行動を起こしている最中のユーザーからフィードバックをもらえることは非常に貴重です。なぜなら、ユーザーが実際にザービスを利用しているときの生の声を聞けると共に、プロダクトやサービスに関する決断を下すときに何を考えているかを知ることができるからです。

そこで、SpeedyPrepはホームページ上にOlark Chat(ライブチャットを特定の顧客のみと可能にするとともに顧客情報管理も可能にするプラットフォーム)をインストールし、顧客になってくれそうな人々に向けて質問を投げかけました。

質問を投げかけたユーザーの内、多くは応対してくれ、すぐにユーザーの言葉遣いやサービスのどこに最も苛立ちを感じているかの傾向を掴めたそうです。

さらに、フィードバックから導きだした仮説を検証するためにSpeedyPrepはQualaroo(実際にサービスを利用中やウェブサイトに訪問中の人に質問を投げかけ、応えに応じて次の質問が変化するアンケートプラットフォーム)をインストールし、アンケート結果から得られた発見をその後のA/Bテストで試験的に実行したそうです。

Olark Chatのサービスのようにリアルタイムのチャットは質の高いフィードバックを提供してくれますが、Qualaroo等のアンケートへのほうがより多くの人が応えてくれる傾向があり、そこそこに良質なフィードバックも得られるのです。

直接ユーザーに会ってプロダクトに関する評価を聞いた方がより深い洞察得られることは間違いありませんが、ネットを介した調査は手早くフィードバックを得ることができ、大きなトレンド掴むには十分なのです。

・具体的なペルソナを想定する

アメリカの家電量販店最大手Best Buyは購買者に関して独創的なペルソナを想定することで知られています。

いくつか想定されたペルソナの例を挙げると:

・  Buzzは独身男性で、あらゆる電化製品において最新かつ最高品質のものを購入できるだけの収入を得ていました。

・  Jillは家族で使うデジカメと家庭向けの電化製品のみを購入するような人でした。

他のペルソナ達には一般大衆の購買傾向を代表させたそうです。

完全にBuzzやJillと購買行動が一致する人は明らかに現実世界にはいませんが、これらの極端な消費者を想定しておくことによって実際にBuy Bestの店舗で営業担当者が効果的に顧客対応を行うことができるようになったのです。

顧客が購入するまでのストーリーを作成し、デザインするためにペルソナを2, 3人以上想定しておくことは有効な手だてです。

きちんとしたペルソナを作成するためには、以下の8つの項目を含めると良いでしょう。

・  名前

・  人口統計学データ(デモグラフィック)

・  文化的 / 経済的背景

・  140字から成る略歴

・  IT / 情報リテラシー

・  最も良く使うウェブサイト

・  人生の目標

・  ニーズ / 欲求

3.  マーケティング手法を試す

ここまでくると目標を設定し、ターゲット層に関しても理解しているため、いよいよマーケティングのテクニックを試す段階です。

ユーザー獲得の早い段階で自分のプロダクトと最も相性が良いマーケティング手法にたまたま出くわすことは考えにくいので、数多くのアプローチを手早く試験的に行ってみることが重要なのです。

まだ色々と壁に向かって投げてみて、どれが壁にくっつくかを見極める段階にあると言えるでしょう。

いずれ、試したアプローチの中から1つか2つくらい目立った成果を生み出す手法を発見できるでしょうから、そのときに初めてそれら手法にさらに金銭的・時間的資源を割けばよいのです。

・様々な可能性をブレストする

「ブレームストーミング」はビジネスの専門用語として今日認知度を得ましたが、この単語の本来の意味を理解している人はどれほどいるでしょうか。

1939年にAlex Osbornがブレームストーミングという概念を初めて生み出した時、彼は広告キャンペーンに関して独創的な問題解決を活性化させる方法を模索していました。

自分自身の独創性の限界と社内のグループ討論の生産性の低さに苛立ちを覚えたOsbornは2つの原則に注目しました:善し悪しの判断を遅らせ、発想の質より量を重視する、というものでした。

マーケティングに関するアイディアを出そうとするときは、現実的にそんなことは無理だと早合点することなく、数多くの異なる可能性を列挙・生成することに集中するべきなのです

創造性を最大限引き出すためには、clarity.fmの創業者であるDan Martellはブレームストーミングとそこで出たアイディアや発想の現実的評価は別の日に行うべきだとまで述べています。

Dan Martell

・金融アナリストのマーケティング手法を活用する

mint

Noah KaganがMint.comでマーケティングを担当し始めた時、創業者はKaganにローンチから6ヶ月で10万人のユーザーを獲得するように、という非常に大きなタスクを課しました。

実際にはKaganは緻密な計画と実行により、目標の10万人の10倍、100万人のユーザーを獲得することに成功したのです。

如何にしてこれを実現したのでしょうか?

Kaganは目標を頭の片隅に入れておいて、どこに最も力を注ぐべきなのかということを逆算しました。

色々な可能性をブレームストーミングの後、彼は挙げられた全ての選択肢を金融アナリストがマーケティングに用いるスプレッドシートでランク付けし、ROIが最も低い施策を除外していったのです。

上も下もわからないような状態で最も効果がありそうなマーケティング手法を勘で選択するよりも、定量分析を活用して裏付けのある判断をしましょう。

・1度に行うマーケティング施策は2, 3つにとどめましょう

ブレームストーミングによって沢山素晴らしいアイディアを得ると、一度にそれらを全て実行したくなるのはわかります。しかし残念ながら、同時に沢山異なる施策を行うことは一般的に失敗に終わります。

30個の互いに関連のない施策を中途半端に行うよりも、一連の流れとして2, 3個の施策に集中する方が良いのです。

また、マーケティングにかける経費を最小限に抑えるためにも、新しいマーケティング施策を可能な限り手早くかつ安価で行える方法を見つけ、一旦特定の手法が効果的、もしくはそうでないことがわかった上で、新しい施策を試すか効果的だった施策を最適化していくことに注力するようにしましょう。

こうすることによってあまり効果的でない施策に資源を割いてしまう無駄を省けるようになります。

短期的に見れば、費用対効果を計算しながらちまちまと施策を行っていくことに苛立ちを覚えるかもしれませんが、最終的には最も早く、確実にグロースを遂げる道なのです。

グロースエンジンの確固たる基礎を創る段階に最も多くの資源を投資をしましょう。後々必ずや効いてきます。

4.  上手くいくことにより多くの資源を割く

上手くいくマーケティング手法を1つや2つ見つけたならば、その効果を最大化することに集中しましょう。

例えばSpeedyPrepでは、SEMが沢山のサインアップにつながったことを発見したため、SEMの最適化により多くの資源を投入し、LPOによるコンバージョン率向上やAdwords、ターゲティング広告の最適化によりCPAを59%も削減することに成功しました。

初期段階で比較的上手くいくマーケティング手法を見つけられたならば、後々の段階でもそれにさらなる改良を加えることによって歳入を生み出す可能性が高いのです。

・投資した分を回収できるまでの時間

アメリカの大学は学費が破格に高いことで有名ですが、一般的な学生は学位取得のために毎年何10万円もの金額を投資する(通常は学生ローン)ため、ローンを完済するまでに長い年月を要します。

卒業直後に給料が高いことで知られている金融業界等に就職したとしても、返済の開始は初期投資を行ってから既に4年後になります。

もし大学入学もマーケティングの手段の内の1つとして入っているならば、おそらく優先順位的に最も低いものとなるでしょう。収支がとんとんになるまで時間がかかりすぎるのです。

良いマーケティング手法とは最初の一年で投資分を回収し、収支をプラスにするものです。最良の場合、初回のコンバージョンで収支がプラスに転じることもあるかもしれません。

CPAが低ければ、初回の広告費を支払う前にSEMによって収支を黒にすることだって不可能ではないのです。

収支がとんとんになるのが早ければ早い程、回収した資金で新たに投資が行えるのです。

・コンバージョン率向上にはCROを活用する

smartwool

SmartWoolは服や靴下を販売している企業ですが、彼らはeコマースのウェブサイト改善をBlue Acornに委託しました。

プロダクトのカテゴリーページを再考し、Blue Acornは全ての商品を並列で展示するのではなく、特定のプロダクトを強調するようなデザイン性の優れたページを作成しました。

この新しいページを公開する前に、Blue Acornは従来eコマースのウェブページで採用されていた一般的なデザインを用いたカテゴリーページも作成しました。

この2つの新しいデザインを試したところ、SmartWoolとBlue Acornは従来から一般的だったデザインを使用したページの方が訪問者あたり17.1%も多く歳入を生んでいることを発見したのです。

後から見れば、より大胆で斬新なデザインを採用していたカテゴリーページは人々が持っていたeコマースサイトのイメージに反したため、商品の購入までのハードルを上げてしまったことが考えられますが、ここで言いたいことはそんなことではありません。

何年もマーケティング業界にいるベテランも含め、誰一人としてどのデザイン最もコンバージョン率を上げてくれるか事前にはわからないのです。

意味のない推測に時間を費やすのではなく、CRO(Conversion rate Optimization)、すなわちコンバージョン率の最適化の実行により顧客が欲していることを見つけるようにしましょう。

・測定可能なグロースソリューションを見つける

Go Dishというアプリがあります。

go dish

アメリカでしかサービスを展開していないアプリですが、毎朝9:30に職場や家の近くレストランが提供しているキャンペーンを決まった数だけお知らせしてくれます。アプリ内で料理と来店時間を選択し、実際に来店した段階でQRコードを店内で読み取らせることによって本人認証を行う仕組みになっています。後は自分の来店時間に合わせて作られた料理を楽しむだけ、と忙しくても美味しい食事はきちんと取りたい人にはかなり使い勝手の良さそうなアプリです。

Go Dishがローンチされた直後はサンフランシスコの駅構内や町中で、日本で言うビラ配り的なことをしてユーザーを獲得していたそうです。

ユーザー獲得の早い段階ではこれらの告知・宣伝方法は人々の注目を得て、ある程度の数初期ユーザーを確保するには非常に有効な手だてです。

しかし、グロースのエンジンを組み立てていくにつれ、より効果を測定しやすい方法を見つけたいものです。

Facebook広告やコンテンツマーケティング等のように、時間的投資は小さくても長期に渡り人々を呼び込んでくれる方法を活用しましょう。

5.  もっと多くのマーケティング手法を試す

狂気の定義とは毎度同じことを繰り返しているにもかかわらず、毎度違う結果が出ることを期待することだ。

–  Rita Mae Brown(日本語訳)

グロースハックでは同じことを繰り返せば、毎度同じ結果が出ることを期待することも等しく狂気じみています。

どのようなグロースハック手法も、その手法で獲得できるユーザー数に関する最大値(飽和状態)というものが存在します。この点に到達してしまうと、その手法にそれ以上時間やお金を投資しても収益を伸ばすことはできません。

そのため、現時点までに行っていたグロースハック施策を収益が生じる水準に保ちながらも、更なるグロースのために他の手法も試す必要性が出てきます。

・出費と歳入のバランスを取る

金融業界にはリバランシングという考え方があります。

例えば、民間投資会社が私人から投資を預かる場合、当時の投資家の目標とリスク許容度合いから株、固定資産や他の資産の組み合わせで投資プランを組み立てます。

その後、市場の変化や株価の変動により投資を開始した段階とは状況が一変してしまっていることが常です。

そのためその時々において、新しい市場状況や投資家のリスク許容度合い応じて有価証券の調整、リバランシングする必要があるのです。

グロースハックにも同じようにリバランシングが欠かせないのです。

ユーザー獲得のために最適な方法を取っているのかを出費と歳入のバランスや市場の状態と照らし合わせながら、柔軟に変化させていくことが重要となります。

・一つのことに集中することを恐れない

飽和状態にまだ達していないならば、その時点で行っている手法の効果を最大化することのみに集中することに対して億劫になってはいけません。

Facebook等にオンラインゲームを提供しているZyngaは、たった2つのグロースハック手法で会社を成長させました:Facebook広告とバイラルを引き起こすメカニズムです。

もしZyngaがSEMやコンテンツマーケティングに戦略をシフトさせていたならば、彼らは今日達成した驚異的な成長を遂げることはなかったでしょう。

常に最良の方法を模索し続けることは必要ですが、変化を起こすこと目的に戦略を変更することだけはやめましょう

・リファラルの可能性を探る

私たちは「バイラル」や「バイラル係数」に関して話すことが大好きですが、時としてこの手法の真の効力を過小評価してしまいます。

完全なバイラルを引き起こせるプロダクトは少ないですが、「海外のグロースハッカーが最重要視する9つのユーザー保持テクニック」でも述べたように、ほとんどのプロダクトはリファラルをグロースに活かすことができます。

例えば友人が新しい歯医者を探しているときに、自分のかかりつけの歯医者をその友人に紹介することをお願いされることがありますが、プロダクトの使用に関しても同じことが言えます。

新規ユーザーを獲得するにおいては、どんなに手の込んだ広告も、信頼している人からの自信を持った紹介の足元にも及びません。

それでは実際にどのようにリファラルを機能させれば良いのでしょうか?

・  プロダクト内に仕込む

・  オーガニックな口コミによる流入

・  ユーザーにプロダクトを推薦してもらう

例えばあなたのプロダクトがLinkedInでユーザーが友人を招待することを可能にしているならば、これをリファラルの方法として活用しない手はないでしょう。

このような直接的な手法が可能でなくとも、素晴らしいUXを提供することによってバイラルを引き起こすことはできるのです。

ユーザーが自発的にリファラルを行ってくれないことがわかったならば、彼らに友人を招待または友人にプロダクトを紹介することをお願いすることはもちろんできますが、これは最も効力が薄い方法です。この場合はUXを向上させ、熱狂的なファンを作ることに注力した方が良いでしょう。

つまるところ、ユーザーを幸せにすれば、ユーザーがあなたも幸せにしてくれるのです

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最後に

ユーザーの獲得をグロースエンジンに組み込むことは一朝一夕で実現することではありません。

TwitterやAppleのように輝かしい成功を収めている企業も試作や最適化を行う長い下積み時代を経てグロースを達成しました。

払った代償がすぐに報われるはずだとは考えずに、粘り強く色々なことを試すように心がけましょう

本記事は原題:Becoming Twitter: A Beginner’s Guide to User Acquisitionを著者が翻訳したものとなります。